Axcelead社員インタビュー
#021

“出来ない”ではなく“
どうやったら出来るか”を考える

佐野 典康 統合トランスレーショナル研究統合生物中枢疾患領域 研究員

メンターの一言が創薬研究者へ

2017年に武田薬品工業株式会社から転籍し統合トランスレーショナル研究統合生物中枢疾患領域の仕事に従事。近々では、脳波の変化、マイクロダイアリシスによる脳の局所のモノアミンやペプチドなどの変動および特殊投与について研究しています。武田時代は非経口投与における薬物動態の研究をしており、既存の方法から発展させた手技の構築や投与デバイスの開発に携わってきました。関わった多くの非経口投与経路(経鼻(点鼻、鼻腔内)、舌下、吸入(気管内・経肺)、経皮、直腸)については論文化もしくは学会発表されており、最近では多くのお客様から投与ルートについてご相談いただております。

創薬研究者になろう!とより強く思ったのは、以前勤めていた会社でのメンターの一言がきっかけです。その会社では第一世代の抗ヒスタミン薬の眠気を誘発する副作用を利用した睡眠改善薬を発売しており、この製品についてメンターに『副作用を逆手に取って製品にするなんてすごいアイデアですね。』と話したところ『作用か副作用かなんて人の都合で決められているもので、結局、作用は作用で、その利用の仕方次第で役立ち方が決まるのだよ。』と教えていただいたのが非常に印象的で薬に興味が湧き、創薬研究者になろうと思いました。

諦めずチャレンジ!思わぬ展開へ

「Axceleadさんを見込んで相談があります」と、とある学会で知り合ったお客様よりご相談を受けました。その方がお調べになった限りでは、ご希望の技術を持ったCROやその他サービスプロバイダーは存在しないため非常に困っているとのことでした。しかしながら、当時の我々にはご所望の技術はありませんでした。一方、私はAxceleadに入ってからずっと武田薬品時代のレガシーに頼らないAxceleadならではの技術を創りたい!という想いがありました。そこで、上司と相談し、直ちに技術の構築に取り掛かりました。技術開発にあたって内部調整や技術面で紆余曲折ありましたが、最終的に1か月ほどで完成し、新たなサービスとしてお客様に無事に届けることができました。さらに、技術の発展を見込んでくださり「共同研究しましょう!」とお声を頂き思わぬ展開へ繋がりました。あの時、自分を信じて諦めずにチャレンジしたことが私にとって大きな自信になりました。これを読んでいただいている皆様にいつかお伝えできるよう、この研究を成功させたいと考えております。

新鮮な気持ちで物事に取り組む

趣味はバイクとDIYです。バイクはサーキットで耐久レースに出場するほど好きで、大学生の頃から自分で組み立てたりしていました。どうやったら速く走れるか?試行錯誤しながら作るのが楽しいです。内燃機のギミックを調べたり、分解したり、部品を交換するのは最高に興味深いです。ただし、興味の対象箇所が増える度に工具がどんどん増え、格納場所を圧迫していきますが…。

また、最近は自宅の庭にウッドデッキを張りました。家で過ごす時間が増え外出できない子どもが、遊び場所が増えて喜んでいるのを見て自分も嬉しくなりました。次はバイクとDIYを掛け合わせて、ガレージの片隅に小さなライダースカフェを作りたいと考えています(コーヒー飲みながら気軽にオイル交換等々できるようなイメージ)。

以前、日本大学薬学部薬剤学研究室(※1)にて講演させていただいたとき、学生さん達から沢山質問を頂いてやり取りさせていただく中で新鮮な気持ちで物事に取り組む大切さを思い出しました。こういったプライベート(?)の活動が新鮮な気持ちを保つ原動力となっていると感じますし、一見創薬と全く関係ないところからヒントを得られることがあります。これまで作ったオリジナルの投与デバイスや実験装置の中には趣味でやっていたことが発展して、開発できたものが多くあります。これまでたくさんの実験動物用投与デバイスを開発しましたので、いつかは、ヒト用のデバイスの開発に携わるような仕事をしたいと考えております。究極の化合物を、至高の製剤で、最適な投与ルートで、渾身のデバイスを使って投薬するような仕事に参画できることを願っています。
※1 http://yakuzai.pha.nihon-u.ac.jp/post-1856/

既存の方法にとらわれずブレイクスルーとなるような役割を担う

論文に載っている方法がベストな方法なのか、これまでの方法よりより良い方法はないのか、を考えながら研究をしています。素材の進化や技術の向上によって過去には難しかったことが現在では出来るようになってきています。例えば、今では使われなくなった古い技術や限界とされていた技術と新しい素材を掛け合わせることによって最先端の技術が生まれることがあります。技術も人も「日進月歩」、「呉下の阿蒙にあらず」です。既存の方法や過去のしがらみにとらわれず、これまで培った様々な技術や知識を生かし、組み合わせ、発展させて、「どうやったらできるのか?」創薬に携わる人が抱える問題点のブレイクスルーとなるような役割を担いたいと考えております。また、それが患者様へ新たな薬を届けることに繋がると信じています。

実験動物技術者および指導員としての想い

公益社団法人日本実験動物協会が出版している協会誌LABIO21(※2)に「実験動物技術者および指導員としての想い」を寄稿する機会を頂きました。私が実験動物技術者や指導員の資格を取得した経緯、技術の発展向上への取り組み、また今後の抱負などについて掲載しております。同協会から転載の許可を頂きましたので詳細はこちらをご参照ください。
※2 https://www.nichidokyo.or.jp/labio21.html

佐野 典康 統合トランスレーショナル研究統合生物中枢疾患領域 研究員

京浜急行バス株式会社、エスエス製薬株式会社から武田薬品工業株式会社を経て、2017年Axcelead Drug Discovery Partners に転籍。マウス、ラット、イヌおよびサルを用いた薬物動態研究および非経口投与ルート研究に従事。現在、薬効薬理試験(中枢領域)を担当。 日本毒性学会認定トキシコロジスト、実験動物一級技術者、実験動物技術準指導員