Axcelead社員インタビュー
#014

患者を想い、中立な立場で

古川 義之 非臨床開発 安全性評価グループ 主任研究員

毒性学の重要性に気づき社会貢献を

医薬品の候補となる薬剤について、非臨床開発段階における薬剤の安全性を評価しています。薬剤安全性の評価は毒性学の幅広い知識力、科学的根拠に基づいた診断力の両方が必要であり、解剖学、生理学、薬理学、生化学、病理学など、あらゆる学問体系を駆使して、毒性機序を考えなくてはなりません。

毒性学に興味をもつようになったのは、大学5年生の時に受けた毒性学の授業がきっかけです。ある化合物が人体にとって薬になるのか毒になるのか、それは投与量で決まり、どこまで服用していいのかを明確にするためにも毒性を評価しておかなければなりません。

適正量を判定する仕組みや毒性のメカニズムを学んでいくうちに毒性学の魅力に引き込まれ、学んだことを活かし社会貢献できる職種に就きたいと思い、研究者として武田薬品工業へ入社しました。薬剤の副作用を事前に予測するシステムを実現するのはなかなか難しいと思いますが、将来的には動物実験がほとんど不要となり、AIを駆使したシステムによる毒性評価ができるといいなと考えています。

襟を正し毒性と向き合う

安全性評価の中でも「開発キラー」と呼ばれている毒性プロファイルの一つに、薬剤性の致死性不整脈が挙げられます。10年くらい前とある催不整脈モデル構築実験中に、モデル動物において致死性不整脈が実際に再現されるのを初めて目の当たりにしました。教科書などで学んだ机上の知識はありましたが、「百聞は一見に如かず」とは正にこのことです。自分にとっては知識としてのみ存在していた毒性事象が実際に目の前で発生し、驚いたと同時に「毒性を評価するとはこういうことか」と改めてその重要性に気づき、それ以来より気を引き締めて実験に携わっています。

思いのほか続いている朝の習慣

コロナ禍になり毎朝6時半からラジオをリアルタイムで聞きながら、10分間ラジオ体操をしています。ぎっくり腰予防も兼ねて、土日も欠かさず真剣に体を動かしています。あまり続くタイプではないと思っていたのですが、アーカイブ動画を見ながらではなく決まった時間にリアルタイムでしているからか習慣化され続いているのと、その甲斐あってか前屈して手が届くようになり柔軟性がよくなる効果が出ているようで勝手に自己満足しています!

あと、実はうどん屋をしてみたい!という夢があるほどうどんが好きで、うどん県・香川にうどん巡りに行っていました。これまで40-50件は訪ねていますが、お店それぞれの味があり飽きることはないです。好みのお店は毎回訪問リスト入り!また行ける日を今は楽しみにしています。

クライアントと共に上市を目指して

薬剤の安全性評価は中立性が求められる、と常々思っています。新たな毒性が見つかり、薬効用量との安全域が確保できない場合においても、クライアントに対してそのリスクをきちんと説明しなくてはなりません。その化合物の開発が困難となっても、逆にその薬剤が臨床試験に使用されず、また上市されないことによって薬害が発生せず、人々の健康を担保することにつながります。そのような業務に関われることに誇りをもっています。パートナーとしてクライアントの皆さまと共に、安全域が担保され、有望な薬剤の上市を目指したいです。

古川 義之 非臨床開発 安全性評価グループ 主任研究員

1999年東京農工大学農学部獣医学科終了後、獣医師免許取得。武田薬品工業株式会社にて一般毒性試験、がん原性試験、安全性薬理試験等に従事。主に循環器毒性研究及びその評価系構築に携わる。2005年毒性学会認定トキシコロジスト(DJSOT)取得。2017年Axecelead Drug Dixcovery Partners, Incに転籍。2018年Diplomate of American Board of Toxicology (DABT)取得。