Axcelead社員インタビュー
#011

これまでの自分の枠を超えたら拓けた世界

階上 健太郎 統合トランスレーショナル研究 遺伝子改変動物グループ 主任研究員

子供のころのプレゼントから研究者へ

プラットフォームラボのFrontier Technologyで遺伝子改変動物の作出を担当しています。遺伝子改変動物は、遺伝子改変ベクターの作製、受精卵やES細胞へのベクターの導入、生体取得という流れで作製され、病態の発症が確認できるまでに半年から1年以上かかります。それだけかけて作出した実験動物が目的の表現型だったときは、達成感があります。また、PCRやES細胞、CRISPRなどのようなノーベル賞ものの実験を自分の手で実施できるというのも面白さの一つです。

そもそも、研究者になることに興味をもったのは、子供のころプレゼントしてもらった顕微鏡で植物や昆虫を見たりするのが楽しかったこと、仮面ライダーの強さに憧れ、仮面ライダーを作りたいと思ったことがきっかけかなと思います。いろいろな仮面ライダー、怪人が現れるのですが、それらを作っているのは天才科学者だという設定に、幼いながら自分でも作ってみたい!と思ったからです。

大学では所属していた研究室で抗体の研究をしていたため、製薬企業に就職した先輩方と話をする機会が多くありました。流れに乗ったと言えばそれまでですが、先輩方が仕事の話をしている姿がなんかキラキラして見えてかっこよかった印象があり、そんな環境で働きたいなと思って創薬研究者を志しました。

逃げたいくらいの不安とプレッシャーから得たこと

ある遺伝子改変マウスでの研究成果を論文化した経験で、世界観が大きく変わりました。
マウスを作出後、解析を担当するチームへ渡そうとしたところ、異動などでリソースが不足しており、門外漢の自分が担当することになりました。初めてのことで右も左も分からなかったので逃げたいくらいの不安とプレッシャーで頭も心もいっぱいでした。

これは自分一人の手には負えないと考え、本来の業務では関わりのなかった部署の方にサポートいただくことになりました。自分でも調べながら解析を進めると、発表したくなるくらい良い結果が出て「論文にしよう!」という話になり、社内の方に紹介いただいたアカデミアの先生のご協力を得て、更なる知見を加えて無事に論文にすることができました。自分の作出したマウスについて論文化できたことも嬉しかったのですが、今では複数の企業様、大学様にそのマウスを使用していただけていることが、本当に嬉しいです!!

仕事の上で誰かに助けを求めるということをそれまではあまりしてきませんでしたが、手を伸ばせば助けてくれる人がたくさんいるということに気づくことができました。

その経験以降、構想段階からできるだけ多くの人を巻き込むようになりました。そうすると当初想定していたより大きな結果になることを実感し、精神面でも成長でき世界観も大きく変わりました。 チームで一つのことに向かって取り組めたときは好きな研究もより楽しいですし、結果が出ても出なくても、協力関係、信頼関係を築けたと感じられる瞬間は本当に嬉しいです。

旅を地酒とともに味わう

ユーチューブの動画を見ながら筋トレするのに最近まではまっていましたが、やり過ぎかやり方が悪かったのか腰を痛めたので、現在療養中です。地酒巡りするほど日本酒が好きで、以前は京都・奈良・高知・神戸などの酒蔵にも出かけていました。旅行に行けるようになったらまた行きたいです。

創薬への貢献に向けて

自分の周囲やテレビ、インターネットから病気で苦しんでいる患者さんの声を聴くと、自分の作ったモデル動物がちゃんと評価に値するものだったら、この病気に効く薬を創れたのでは?とモヤモヤすることがあります。創薬に貢献できるモデルを作って世の中の役に立てたらと思っています。

階上 健太郎 統合トランスレーショナル研究 遺伝子改変動物グループ 主任研究員

工学修士。2009年東北大学大学院工学研究科修了後、武田薬品工業に入社。遺伝子改変マウス、ラットの作出、および解析業務に従事。2017年、Axcelead Drug Discovery Partners株式会社設立時に武田薬品から転籍。統合生物 主任研究員を経て、2020年4月より現職。