【開催日時】2023年11月21日(火) 17:00-18:00
【概要】
新薬開発において、今や心毒性は肝毒性を抜いてNo.1の安全性上の懸念として認識されており、臨床開発上の障壁となり得るため、その早期評価と回避が極めて重要である。心電図QT延長リスクは開発中止につながる主要な心毒性の一つであるが、当該リスクは心毒性全体の3割程度であり、残る7割は冠動脈疾患や心不全など心血行動態へ副作用である。また近年、抗がん剤による心不全リスク回避が臨床で益々重要視されている(Cardio-Oncology)。このように心毒性評価はQT延長のみならず、心機能(収縮能)や血行動態など、従来以上に多角的・統合的に評価する必要性が高まっているが、現行の評価方法だけでは捉えきれない多様な心毒性の顔が存在する。本セミナーでは、これらの領域を解明するための新戦略を3つの視点から事例を交えて紹介する。
- 血行動態の変動を引き起こす中枢神経系作用薬の評価には、どのような非臨床試験が求められるのか?臨床開発につなげる戦略的アプローチを紐解く。
- In vitro QT延長/催不整脈リスクの探索スクリーニングとして、S7Bガイドライン改定(Q & A)を考慮して構築したAxceleadユニークなQT延長リスク評価戦略を紹介する。
- 開発化合物の心機能すなわち心臓の収縮能/弛緩能に対する評価は通常行われていない。本発表では安全性の側面から心機能を評価する意義や活用例について紹介する。
【開催形式】Zoomウェビナー
古川義之 応用レギュラトリーサイエンス 安全性評価
製薬企業及びAxcelead DDPにて一般毒性試験、安全性薬理試験等に約20年間従事。主に循環器毒性研究及びその評価系構築に携わる。2018年Diplomate of American Board of Toxicology (DABT)取得。
吉田 唯真 統合トランスレーショナル研究 Discovery DMPK&Toxicology
製薬企業及びAxcelead DDPにて各種 in vitro 安全性評価に10年間従事。2017年からは核酸医薬品を初めとする New modality の安全性評価も担当。
北浦 智規 統合トランスレーショナル研究 統合生物
2007年から製薬企業にて一般毒性試験に従事。2017年からAxcelead DDPにて循環器領域の薬理研究を担当し、エコーを用いた心機能評価に携わる。