2025年11月4~7日の4日間、アトランタで開催されるObesityWeek® 2025で、Pharmacology BUの仁尾研究員がポスター発表をします。本学会への参加を予定されている方は、是非発表をご覧ください。
【学会概要】
ObesityWeek® 2025
【ポスター発表】
日時:2025年11月6日(木)2:30~3:30 pm
場所: アメリカ合衆国ジョージア州アトランタ
タイトル:「Anti-Obese Effects of GLP-1 Related Peptides on MC4R Deficient Mice and Nauseous Experiment Systems」
ポスター番号:Poster-715
【発表概要】
食事誘発性肥満(DIO)マウスは抗肥満薬評価に広く用いられている。しかし、肥満形成には6週齢から約20週間の高脂肪食給餌期間を要し、薬効評価までに長期間を必要とすることが創薬研究の障壁となっている。メラノコルチン4受容体(MC4R)欠損マウスは10週齢頃から野生型に比べて顕著な体重増加を示し、短期間で薬効評価が可能な遺伝的肥満モデルと考えられる。本研究ではMC4R欠損マウスを用いて、GLP-1アナログ(セマグルチド、チルゼパチド、レタトルチド)の抗肥満効果を比較し、臨床試験結果と同様の有効性を示すかを検証した。体重低下作用はチルゼパチド>レタトルチド>セマグルチドの順に認められ、筋肉量減少も確認され、臨床報告と整合する結果が得られた。これらの知見から、MC4R欠損マウスは短期間で薬効を評価できる臨床外挿性の高いモデルであり、抗肥満薬の有効性評価に有用であることが示唆された。一方、GLP-1アナログは強力な抗肥満作用を示す反面、高頻度で悪心・嘔吐などの副作用が報告されている。げっ歯類は生理的に嘔吐反射を欠くため、従来モデルではこれら副作用の再現が困難である。そこで我々は、味覚嫌悪、唾液アミラーゼ分泌、胃排出遅延、パイカ行動を指標とする嘔吐反射の補完的評価系を正常マウスおよびラットで構築し、GLP-1アナログによる悪心・嘔吐様反応を捉えることに成功した。本研究において我々は、1)MC4R欠損マウスが短期間で抗肥満薬の薬効を評価できる有用なモデルであること、2)正常げっ歯類を用いた補完的評価系がGLP-1アナログによる悪心・嘔吐の副作用予測に活用しうることを明らかにした。これらの成果は、抗肥満薬の前臨床開発における薬効および安全性評価の高度化に寄与し得ることを示唆している。
【Axcelead DDPのソリューション】
ADDPではMC4R欠損マウス以外にも多くのモデルや評価指標を保有しています。代謝疾患領域では20年以上の経験のある研究者も多数在籍しており、ターゲットや症状に応じて最適な創薬研究をご提案・加速することが可能です。 薬効がオンターゲットかどうかの検証は遺伝子欠損マウスを迅速に活用できます。病理解析やOmicsの技術と融合することで、作用機序(MOA)や病態解析、安全性評価までも一貫して対応可能です。創薬研究にお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。

仁尾 泰徳 Pharmacology Business Unit, Director
2002年に武田薬品工業に入社し、薬理研究者として糖尿病・肥満など代謝疾患、希少疾患、再生医療研究に携わる。2023年にAxcelead Drug Discovery Partners株式会社へ入社し、循環・代謝疾患グループをリードしている。
