2025年9月25~27日の3日間、石川県金沢市で開催される第84回日本癌学会学術総会で、Pharmacology BU 海野研究員がポスター発表をします。本学会への参加を予定されている方は、是非発表をご覧ください。
【学会概要】
第84回日本癌学会学術総会
【ポスター発表】
日時:2025年9月27日(土)16:15-17:00
場所: もてなしドーム地下広場
タイトル:「ヒト新鮮がん組織由来細胞における免疫細胞の機能評価と免疫チェックポイント阻害剤の作用」
セッション名:I-P10-7
演題番号:P-3156
【発表概要】
ヒトがん組織内には腫瘍細胞だけでなく多様な免疫細胞が存在し、これらが相互に作用することで複雑な腫瘍微小環境(TME)が形成されます。このTMEにおける免疫応答の理解は、新たながん免疫療法の開発において極めて重要です。
我々は、ヒト新鮮がん組織を酵素処理によって単細胞化し、フローサイトメトリーを用いて腫瘍内免疫細胞の構成および機能を解析しました。その結果、PD-1を高発現するCD8⁺T細胞やCD4⁺T細胞、制御性T細胞(Treg)や腫瘍随伴マクロファージ(TAM)を含む多様な免疫細胞の浸潤が認められ、抗腫瘍免疫反応を阻害する環境の形成が確認されました。さらに、抗CD3抗体刺激によるIFNγ産生を指標とすることで、T細胞の刺激応答性を評価しうることを明らかにしました。
TAMや腫瘍内Tregは末梢血中には存在せず、凍結により機能が低下することから、血液や凍結組織ではそれらの機能を正確に把握することは難しいとされています。従って、本研究にて構築したヒト新鮮がん組織を用いたin vitroでのT細胞の機能評価系は、腫瘍組織内での免疫応答を理解し、新規がん免疫療法を創製する際に極めて有用な試験系になると考えられます。
本発表では、これらの知見に加え、免疫チェックポイント阻害剤の効果についても併せて紹介します。
【Axcelead DDPのソリューション】
Axcelead DDPでは、創薬研究において極めて有用なツールとなるヒトの新鮮がん組織を入手する独自のシステムを構築してきました。その新鮮がん組織を用いて腫瘍組織内での免疫応答を評価するin vitro評価系は新規がん免疫療法の探索研究に大変有用です。また、がん組織に限らず、様々なヒト組織・細胞種も入手可能です。それらヒト由来試料における各種オミックス解析を駆使することで病態のメカニズム研究やバイオマーカー探索など、創薬研究をより幅広く支援することができますので、ご興味のある組織や評価系がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

海野 才斗子 Pharmacology Business Unit
武田薬品工業で免疫・炎症疾患領域の薬理研究者として創薬研究に従事。2017年にAxcelead Drug Discovery Partners株式会社へ転籍し、免疫疾患領域に加え、がん免疫領域の薬効薬理試験に携わる。
