2025年5月7~10日の4日間、アムステルダムで開催されるEASL Congress 2025で、Pharmacology BUの菅原研究員がポスター発表をします。本学会への参加を予定されている方は、是非発表をご覧ください。
【学会概要】
EASL Congress 2025
【ポスター発表】
日時:2025年5月9日(金)終日
場所: Amsterdam, the Netherlands
タイトル:「Identification of differences in therapeutic mechanisms between Resmetirom and Semaglutide on metabolic dysfunction-associated steatohepatitis treatment in western diet-fed melanocortin 4 receptor knockout mice」
ポスター番号:FRI-438
【発表概要】
2024年、Resmetirom(THR-βアゴニスト)が世界初の代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)の治療薬としてFDAにより迅速承認されました。また、肥満症の治療薬であるSemaglutide(GLP-1アゴニスト)も、MASHに対し有効性を示す臨床試験結果が報告されています。2022年にMASH治療薬の治験についてFDA から承認に向けたガイドラインが提示されたこともあり、今後MASH 治療薬の開発が活性化することが考えられます。本研究では、肥満およびインスリン抵抗性を有するヒトMASH病態を模倣したモデルマウスを作製し、Resmetirom及びSemaglutideを同時に試験し、その効果を比較しました。その結果、いずれの薬剤も肝障害マーカー、脂肪肝を有意に改善しました。Semaglutideは摂食抑制による体重低下に加えて筋肉量や骨量の指標となる除脂肪重量も低下したことに対し、Resmetiromは除脂肪重量の低下を示さず、エネルギー消費量の増加が認められました。今後はResmetiromに加えてSemaglutideも上市される可能性があり、異なる作用機序を持つことから、これら薬剤の併用で、より強いMASH治療効果が得られるかもしれません。本研究の結果が、MASH治療薬開発に貢献することを期待します。
【Axcelead DDPのソリューション】
Axcelead DDPでは、代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)の臨床症状である肥満およびインスリン抵抗性を有する高脂肪食を負荷したメラノコルチン4型受容体(MC4R)欠損モデルマウスを有しており、MASH治療薬候補の薬効薬理解析を実施することができます。また非侵襲的な体組成、エネルギー消費量や呼吸量を測定可能なEchoMRIやOxymaxシステムを保有しており、薬剤によるこれら指標への影響も評価可能です。さらに、各種代謝性疾患モデルも有しており、薬効薬理解析に加え、病理評価やオミクス解析など多彩な評価も可能です。MASH関連研究も含めて代謝性疾患を幅広くサポートできますので、代謝性疾患における創薬研究にお困りの際は、是非、当社にご相談ください。

菅原 拓海 Pharmacology Business Unit
薬学修士。2019年東北大学大学院薬学研究科修了後、大正製薬株式会社に入社し、線維化疾患や腎臓疾患を対象とした創薬研究に従事。2023年にAxcelead Drug Discovery Partners株式会社に入社。入社後は肝臓、腎臓疾患や肥満症をはじめとした代謝性疾患領域の薬効薬理試験に従事。